私は作業療法士です。
ある親子の物語に出会い、この本を書くことにしました。
「とても、寒い冬の夜だったと記憶しています。私は母とその防波堤に停められた車の中に二人で乗っていました。私はまだ小学校の低学年だったのです。母は手で顔を覆って静かに泣いていました」
「あなたとこのまま、この海に車ごと飛び込めたらどんなに楽かしら」
私はそのとき、母の横顔を見つめながら
「生まれてきてごめんなさい、ぼくがいなくなったほうが世界が幸せだね」
と心の中で何度もつぶやきました。
幸せそうな親子、理想的な子育てをしているかに見えるお母さんであったにもかかわらず、この親子は生きる気力をなくしてしまっていました。
この親子の物語は、私の作業療法士としての人生を大きく変え、私はこの親子とともに、ずっと長い長い道のりを歩いていくことになりました。
そして、この本がうまれました。
およそのべ3万人以上、10万に近いお悩みに接してきた中でみつけたママたちの三大お悩み「うちの子、何かが違う」「誰もわかってくれない」「私の産み方がわるかった」。
そのなかでも一番深いお悩み「私の産み方がわるかった」から抜け出すには何が必要か。 家族に発達課題という試練がやってきます。
人生は長く続く旅のようなもの。旅をするのに必要なのは「地図」という道具です。自分なりの地図をもって発達の世界を歩いてみませんか。
地図には、3つの島にそれぞれ道具が描かれていて、9つの質問が書かれています。この質問に答えるだけで、思い込んでいた子育ての常識ではない、あなただけの地図ができあがります。
凸凹ママたち7人エピソード。 ここに登場する7組の親子は、みんなタイプがバラバラ。でもすべてに共通していたのはママたちはすごく困って沼地にはまっていたことと、発達の地図に出会ったこと。いったいママたちに何が起こったのでしょうか? そして、発達の地図に隠された魔法とは? さぁ旅立ちのときです。
付録:発達の地図・Qカード(2種類)
B5判・152ページ 定価2970円
山口 清明(やまぐち さやか)
NPO法人はびりす代表理事。1973年生まれ乙女座B型。大学を卒業後ビジネスマンとなるがデスクワークという高い壁にぶちあたり挫折。 ある日作業療法の本を手にし「オ、オレのことが書いてあるじゃないか!」と雷に打たれたような衝撃を受け夜間の専門学校へ入学。32歳で作業療法士の免許を取る。 OTとなって初めての就職はある病院のリハビリテーション科であった。しかしエネルギーがおさまりきらず岐阜県大垣市ではびりすを起業。 縦横無尽な作業療法を追求し、飛騨市にもはびりすを開設する。現在は行政、オンラインと業種を飛び越え自分の頭の飽きっぽさと闘いつつ新しいことを探し続けるTADOO登山家である。
北島 静香(きたじま しずか)
NPO法人はびりす理事。1973年生まれ蠍座B型。学生のころは手話やコミュニケーションにのめり込み、福祉の道へ。社会福祉士として高齢者福祉や行政の仕事に携わる。 ゆっくりと育つわが子の子育てに直面し、11年前「ピッタリのOTがいる」と紹介された病院で山口OTに出会う。その後同病院へ就職し山口らとともにはびりすを起業することになる。 こどもがイキイキと遊び、ゆっくりながら育っていく姿を見て、自分ももっと学んだりよく生きたりする希望がわき、コミュニケーションの世界を追求すべく40代半ばで言語聴覚士の養成校へ入学。若者のなかで苦しみつつ学び免許を取得し、はびりすでお母さんやこどもと多くの時間をすごす日々を送る。絵を描いているととても幸せ。
※「発達の地図®」は特定非営利活動法人はびりすの登録商標です。
みんなの感想
軽い気持ちで本を開いたら一気に全部読んでしまいました!文章も読みやすく、絵がとーってもかわいいです。なんだろう、心が軽くなり、じわっとあったかくなって涙が出てしまいました。子育てに悩み沼地にはまってしまっているママ達、お子さんと関わる全ての人達にぜひ読んで欲しいです!それぞれのSTORYをガイドしてくれるような、とても深くて濃厚な一冊だと思います。購入してよかったです!
ものすごく分かりやすく、スッと心に入ってきました。奇跡の〇〇、可能性が広がる〇〇ですね。発達の「地図」私も書いてみようかな…。
今日お母さんと描いて帰り際、すっごい笑顔で手を振ってくれたんですよね。
"Bon voyage!"って思わずつぶやいちゃいました。かなりいいですよ。発達の地図!
医療を取るか、療育を取るかで悩んでいたけれど、自分がどんな子育てをしたいか、どんな風に育って欲しいかをまずは考えなきゃいけなかった。目から鱗でした。
当事者でもあり、今は支援者でもあるので、本を読んでいくうちに、手渡したいお母さんの顔が何人も浮かびました。
定期的に書き合う時間を持ちたいと感じ、事業所でも使ってみます。
自分の〇〇にも気づき、ドキっとしました。重度の知的の息子との暮らしに、時々無力感を感じたりします。私から見える△△を振り返り、未来をもう一度見つめ直します。
事例のお子さんの障害の幅が広いのが、ほっとしました。障害の親あるあるで、事例に自分の子供のタイプがないと、参考にならないと判断する方が意外と多いです。子どもの発達が心配なのはどの親も同じ共通項だから
△△を考えたり、□□仕立てにしたりって、はじめてだから、よくわかんないってママが言ってたんですが、一緒に書いていくと、いろんな△△や、□□がいっぱい出てきて、それが私も楽しかったです。